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短期集中不定期日記的コラム「はじめての禁煙!」




2006年1月25日

 タバコって一体なんだろう?と、ここ数年考えるようになっていた。僕が初めてタバコを吸った頃は今みたいに嫌煙の風潮もなく、大人になるとタバコを吸う=タバコを吸って大人に近づく、という意識だった。実際タバコを吸う大人の姿はカッコ良く、松田優作やショーケンなどが煙をくゆらす姿に憧れて、早く大人になってタバコの似合う人になりたい!と思っていた。そう言った意味ではダウンタウン・ブギウギバンドの「スモーキンブギ」はとてもタイムリーな唄だった。
 あれから時は流れ、タバコはすっかり生活の中に定着し、愛しい存在になっていた。セブンスター→ハイライト→マルボロ→マルボロメンソール、付き合う女性が変わるように銘柄も移り変わった。
 しかしここ数年の嫌煙の風潮。どうしたことか?と思っていた。「毒のある唄を唄い続ける上で、多少毒のあるモノを摂取した方がイイ!」などという理屈をこねたりもした。世間が嫌煙、嫌煙と騒ぐたびに、その品行方正的な健康ブームにのっとった流れに反発を感じていた。でも、それと同時に、僕の中で「タバコってなんだろう?よく考えたら本当に必要か?」という疑問も湧いて来ていた。そこへさして、桑田さんがタバコをやめた、と聞いた。5年ほど前の事だ。僕は桑田さんがハイライトを吸う姿に憧れて、一時同じ銘柄を吸っていた。どんなにハードなステージをこなしても、ひたすらハイライトを吸う桑田さんがカッコ良かった。それが、それが、禁煙したのね(涙)。さだまさしさんがタバコをやめた、と聞いたのは2年ほど前だった。あのクリスタルボイスは喫煙しながらも響いていたのね。でもやめちゃったんだって(涙)。唄を唄うという職業にとって、タバコはやはり弊害なのだろうか?41歳の時僕は「これからもシャープな姿でステージに立ち続けよう!」と決意して、ジョギングなどで体重を13キロ絞った。タバコもやめるべきか?
 そんな事を考えていた矢先、僕はかねてからの持病「痔瘻」の手術をするために、レコーディング開けに1週間入院する事になった。これは禁煙のチャンス?今ドキの病院はロビーなども含めて全館禁煙で、喫煙者は敷地の隅っこの掘建て小屋みたいな喫煙スペースまでわざわざ行かなければならない。あー、面倒くさい!これをキッカケにタバコはやめよう!丸一日はやめてみた。しかし、ありがたい事に個室に入れてもらっていたので、退屈やん。深夜に看護士さんの見回りも終わって、フッとひとりになった時、窓を開けてタバコに火をつけた。見つかったらこっぴどく怒られる。なんせここは病室なのだ!その背徳心が、タバコの旨さを助長し、僕は確信を得た。「タバコとは虐げられて、隠れて後ろめたく吸うモノなり!」。この結論を得てからは、空港や駅の隅っこの喫煙スペースこそがふさわしいモノであり、オフィスなどでは吸うべからず!しかし、コソッと抜け出して火をつけ吸い込む行為がけっこう気に入っていた。
 反面「よく考えたら、オレは本当に吸いたいのか?」という疑問も時々脳裏にチラついていた。タバコよ!タバコ!お前はオレにとって一体なんなんだ?
 2005年も押し迫るころ、事務所に「禁煙グッズ」を体験して、結果禁煙に成功して、その模様を報告する、という「仕事」が舞い込んで来た。いろんな仕事があるもんですね。話を聞いたら1ヶ月毎日パイプを取り替える事によって、日を追うごとに0,3%ずつニコチンの摂取量を減らしてゆくシステムだそうだ。そして晴れて禁煙に成功すれば、その体験をインタビューしてもらって、そのシステムの宣伝に一役買うというモノ(http://www.riena.jp/pipe.php)。おもしろそうやん、なんか動物実験みたいで。僕は意志の強い男だ!やめると決めたら、明日からでもキッパリやめれる男である!でも、やめる理由が見当たらなかった。しかし、今回のこの話「楽しそうだから」乗る事にした。楽しくなければ禁煙じゃない!苦しい禁煙なんてマッピラだ!事実僕はジョギングを楽しいモノとして取り入れて、今も週に1日か2日走らないとキモチワルイところまで取り込んだ。禁煙も同じハズだ。そして何よりも、禁煙してタバコを吸わない自分が見た「この世界」を体験し、感じてみたいのだ。タバコを吸わない人にとって、煙がどれほど迷惑なモノなのか?タバコをやめたらメシが美味くなる、と聞くがどれほどの美味さなのか?(今でも相当美味いと思っているのだが、、、)。禁煙すると太るというのは本当か?これは未知の世界だ。未知の世界に身を置いて、新たな経験をする事こそが創作のエネルギーになるのだ!それに、こうしてホームページで発表してしまったのだから、今さら引き返すわけにはいかないではないか!
 というわけで、僕の禁煙への道がスタートした。現在パイプは9本目。普通に吸うと0.8mgあるマルボロメンソールのニコチンが、今日の段階では0.584mgまで減少した。このまま1ヶ月たって31本目のフィルターを使う段階では0.044mgまで減少する。この段階でニコチン0.1mgのフロンティアライトなどに銘柄を変えてさらに10日。No.20からのパイプを10日間使うと、42日目にはニコチン0.005mgになるという寸法。「吸いながら摂取量を減らす」というのがポイントだ。毎日0.3%ずつの減少なので、違和感もない。そして毎日シミジミと「タバコに別れを告げながら」過ごす行為がせつなくも楽しい。未知のトンネルの様子は、今後数回このコーナーで報告することにしよう。



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