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コラム

「自由」

小学校の時の水泳の授業。プールサイドにつかまってバタ足の練習をしたり、ビート板をもって25m泳いだり、潜水でどこまで泳げるか競ったり、いわゆる授業らしい事をしたあと、しばらく休憩。先生が「あと10分あるな…」などと口走ったら、誰からともなく「自由!自由!自由!」と言う合唱になり「よーし!自由だー!」と言う先生の声を聞くやいなやみんなプールに飛び込んで大ハシャギ。授業という束縛から逃れた開放感が嬉しかった。
 国道などを走っている大型トレーラー。いつもは何トンもの荷台を引っ張って旅をしているが、時たま見かけるのが、荷台を外してアタマの部分だけで走行しているトレーラー。日頃の重圧から開放されて「自由!自由!」と口ずさみながら走っている様に見える。(のはオレだけか?)

 布団圧縮袋に入れられ、押し入れの奥にしまい込まれていた布団が半年振りに登板となった時、競馬の馬がゲートから出て来る瞬間、お祭りですくった金魚を家に持って帰って洗面器に放した時、スキーブーツを脱いだ時の足、それぞれの「自由!自由!」である。

 プロポーションを美しく見せる為に女性が身に付ける矯正下着。聞くところによるとワキの下のぜい肉を無理矢理胸の方に持って来たり、オナカのダブついたお肉をかなりの力で押さえ込んだり、涙ぐましい努力が男性の知らない所で行われているらしい。さながらサイボーグのごとく、カチカチに封じ込みましたー、みたいな女性っているもんねえ。イヤ、いるらしいねえ、聞くところによると。彼女達の肉体こそ、矯正下着を外した瞬間「自由!自由!」と叫んでいるに違いない。

それにしても、対外的にプロポーションを良く見せる為に身に付けるそれらの下着、大多数の深い関係に至らない人達の目はごまかせてても、意中の男性とベッドインした瞬間魔法が解けてしまう訳で、相手の男性は多少なりとも心の中で「アリャ?」なんてつぶやくのでしょう。彼女の肉体は下着から開放された「自由」を得たと同時に男性の視線を感じる「不自由」ゾーンに突入するのでありました。


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